
第3回全日本パラフェンシング選手権大会
パラフェンサーの頂上決戦! 3種目で白熱
「第3回全日本パラフェンシング選手権大会」が7月27日、東京都の北区赤羽体育館で開催された。過去2大会は参加人数の関係でカテゴリーオープンのフルーレ(男女混合)のみ行われてきたが、今大会は約40人までエントリー数が増加。男女それぞれフルーレ、エペ、サーブルの個人戦が実施された。

鋭く、スピーディな剣さばきで圧巻の勝利をおさめた加納(右)
パリ2024大会代表の加納が圧巻勝利
もっともエントリー数が多い男子フルーレのカテゴリーAを制したのは、加納慎太郎(LINEヤフー)だ。加納は予選プールを無失点の完勝で5連勝とし、決勝トーナメントに進出。準決勝でもわずか2失点で決勝に駒を進めた。その決勝では、堅実なプレーで勝ち進んだ後藤竜羽(大分県フェンシング協会)と対戦し、終始攻めの姿勢を崩さず15-1で勝利。最後まで圧巻の存在感を示した。加納は男子サーブルのカテゴリーAでも優勝。昨年のパリ2024パラリンピック競技大会から帰国後も、「ブレーキを踏むのではなく、アクセルを入れて練習してきた」と語った加納。好調を維持し、この結果を9月の世界選手権につなげるつもりだ。
フルーレのファイナリストとなった後藤は、選手発掘事業のJ-STARプロジェクト7期生。後藤は「上半身のみの動きで戦うスタイルが難しいけれど、楽しい。パラリンピック出場を目指したい」と話し、前を向いた。また、後藤と同期生で10位に入った立石裕樹(アイ工務店)はパラ水泳から競技転向し、新境地で上を目指している。たくましく成長する後輩たちの姿を、加納は「嬉しい」と受け止めつつ、「まだ僕の脅威にまではなっていない。彼らが強くなりたいと求めるならば、サポートしていきたい」と愛あるコメントを残した。
男子エペのカテゴリーAは、中川清治(日本パラフェンシング協会)が制した。
実力拮抗の男子カテゴリーBは笹島が2種目優勝

混戦模様の男子フルーレのカテゴリーBは笹島(左)が制した
男子カテゴリーBは、パラリンピック2大会連続出場の藤田道宣(SCSK)をはじめ、昨年11月にAからカテゴリー変更になった笹島貴明(インターネットイニシアティブ)、昨年のアジア選手権の2種目で銅メダル獲得の角田成(電通デジタル)ら、実力者が勢ぞろい。9人がエントリーした男子フルーレは藤田と準決勝で角田を破った笹島が決勝に進み、笹島が15-7で勝利した。普段から一緒に練習し、互いの癖を知り尽くす仲。防御から後半は攻めに転じた藤田のプレーで流れが傾きかけたが、笹島は冷静に相手の剣を読み、前半のリードを守りきった。笹島は男子エペも制し、2冠を達成した。
角田は笹島にフルーレ準決勝、エペ決勝で敗れていたが、最終種目のサーブル準決勝でリベンジに成功。サーブルのみカテゴリーA/B混合で行われ、決勝で加納に敗れたものの、角田はカテゴリーBのチャンピオンとなった。
藤田は本来はもっとも障がいが重いカテゴリーCの選手だが、パラリンピックでは実施されないため、ひとつ上のカテゴリーBで戦ってきた。今後はカテゴリーCに主戦場を移す意向を明かし、2年に一度の世界選手権とポーランド・ワルシャワで開催されるワールドカップでの優勝を目指していくという。自身の豊富な競技経験を選手目線で後輩たちに共有するといったサポート活動も視野に入れており、「彼らのこれからに期待したい」とエールを送った。
カテゴリーオープンの女子は松本が3冠

女子は松本(右)が3種目で頂点に立った
6人がエントリーした女子は、カテゴリーA/B混合で3種目を実施した。そのなかで、東京2020パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)日本代表の松本美恵子(都立多摩総合医療センター)がフルーレ・エペ・サーブルの3種目すべてで頂点に立った。また、同じく東京2020大会日本代表で、エントリーのうち唯一のカテゴリーBの選手である阿部知里(日本パラフェンシング協会)が、フルーレとサーブルで準優勝、エペで3位タイという好成績をおさめた。
女子はまだ選手数が少ないが、J-STARプロジェクト6期生の木村美貴(Sky)や8期生の吉澤周子(SEISA)ら、新たに競技を始めた選手が徐々に増え、全体のスケールアップにつながっている。3冠を達成した松本は、「みんな実力をつけてきている」とライバルたちの飛躍に目を細めつつ、「彼女たちに負けないよう、来年も頑張りたい」と力強く語った。
(MA SPORTS)
