パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2023年1月11日

TOYOTA U25日本車いすバスケットボール選手権大会2022

トップ選手がそろう関東選抜Aが優勝!

「TOYOTA U25日本車いすバスケットボール選手権大会2022」が1月7日から2日間にわたり、愛知県のスカイホール豊田で開催された。25歳未満の若手選手や競技経験が浅い選手などを対象に、技術強化や普及を目的として行われる大会で、新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりに実施。今回は全国7地区の選抜チームに加え、女子U25日本代表チームも参加し、熱戦を繰り広げた。決勝は関東選抜Aが85-33で東海北陸選抜を下し、優勝した。

優勝を果たし、笑顔を見せる関東選抜Aの選手とスタッフ

大会MVPは関東選抜Aの赤石が受賞

攻守で活躍した関東選抜Aの赤石が大会MVPに選ばれた

8チームの頂点に立ったのは、昨年9月の男子U23世界選手権を制した日本代表メンバーの赤石竜我(2.5)、鳥海連志(2.5)、春田賢人(2.5)、髙柗義伸(4.0)を擁する関東選抜Aだった。第1クォーター序盤、赤石が磨きをかけてきたという3ポイントシュートを鮮やかに決めると、鳥海からのロングパスを受けた髙柗が落ち着いてシュートを入れる。関東選抜Aはその後も連続で得点を決め、早々に試合の主導権を握った。30点リードで迎えた後半も、春田が3連続でシュートを沈めるなど最後まで勢いを維持し、勝ち切った。

大会MVPに選出された赤石は、「U23世界選手権の金メダルメンバーの一人として、恥ずかしくないプレーを同世代のライバルたちに見せつけたいと思っていた」とコメント。「優勝という形で結果を示せてよかった」と、笑顔を見せていた。

一方、登録メンバーが6人ながら決勝に勝ち上がった東海北陸選抜は、敗れたものの最後まで身体を張ったプレーで得点やリバウンドに絡んだ。第4クォーターにはキャプテンの古崎倫太朗(2.5)が「狙っていた」という3ポイントシュートで得点を伸ばすなど、粘りも見せた。古崎は試合後、「点差はついてしまったが、自分たちがやろうとしたことが全くできなかったわけじゃない。チームとして成長はできたと思う」と振り返り、前を向いた。

延長戦の激闘を制し、九州選抜が3位!

九州選抜と関東選抜Bが対戦した3位決定戦は、延長戦にもつれ込む接戦となった。関東選抜Bは、作田竜哉(4.5/健常)が序盤から攻守にわたって積極的なプレーを見せる。第2クォーターは2点ビハインドから作田の得点とフリースローで逆転に成功すると、平山拓臣(1.5)も連続得点を決め、8点差をつけて前半を折り返した。

九州選抜の小川は試合終盤に連続でシュートを決め、流れを引き寄せた

だが、後半はディフェンスが機能しはじめた九州選抜がじわじわと追い上げる。第4クォーター終盤にはプレスをさらに強化し、相手のボール運びを幾度と阻止。さらに、小川祥汰(4.0)の3連続得点で試合終了19秒前には2点差まで迫り、最後はディフェンスリバウンドから素早くパスをつなぎ、溝口良太(4.0)のシュートで49-49の同点に持ち込んだ。そして、2分間のインターバルのあと、5分間の延長戦に突入。ここでも九州選抜がゲームを支配し、53-51で勝利した。

「自分たちのディフェンスを信じてやり続けた結果、同点に追いつけた。延長戦もプレスが継続できたことが勝利につながったと思う」と、九州選抜の赤窄大夢(2.5)キャプテンは話す。さらに「普段は一緒に練習することは少ないけれど、みんな同じ世代で気心知れた仲間。良い若手選手が育っているし、僕らが九州を背負っていけたらと思う。そいう意味でも、今大会はすごくいい経験になった」と、力強く語った。

女子U25日本代表の江口は「この経験を次につなげる」

女子U25日本代表は7・8位決定戦で北海道・東北選抜に敗れて最下位だったが、大会を通して高さやフィジカルに勝る同世代の男子選手らと競う貴重な機会になった。そのなかで存在感を示したのが、2019年の女子U25世界選手権の日本代表メンバーで、昨年5月にタイで開かれたアジアオセアニアチャンピオンシップスでも日の丸をつけた江口侑里(2.5)だ。

身長170㎝と、ハイポインター並みの高さが武器。左手と左足に麻痺があるが、小学3年でミニバスを始めてから高校卒業まで、健常チームで汗を流してきた。その時代も含めて、今大会で“人生初”のキャプテンに任命された。今回のチームにはキャリアが浅い選手も多く、「一人ひとりがリーダーシップを持ってほしいと思っていた。みんなにも『自分たちでチームを作っていこう』と話をした」と江口。「私も未熟だけど、(今回はキャプテンを務めて)自分の知見を広げることができて良かった。U25でいろいろな経験を積んでパラリンピック出場につなげていければ」と、言葉に力を込めた。

(MA SPORTS)