パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2021年5月26日

World Para Swimming公認
2021ジャパンパラ水泳競技大会

東京2020パラリンピック日本代表推薦選手が決定!

横浜国際プールで21日から3日間にわたり開催されていた東京2020パラリンピックの日本代表推薦選手選考会を兼ねた「World Para Swimming公認2021ジャパンパラ水泳競技大会」が閉幕。日本パラ水泳連盟と日本知的障害者水泳連盟は24日に選考委員会を開き、日本代表候補選手27人を発表した。

派遣基準記録を突破した富田。「不調が続いていても応援し続けてくれた皆さんの想いが僕を後押ししてくれた」と語る

初のパラ代表入りを決めた富田「すごく嬉しい」

今大会で代表内定を決めたのは男女5人。大会初日に無観客の会場を盛り上げたのが、富田宇宙(日体大大学院)だ。午前10時から始まった男子400m自由形予選2組(S11)のレースを4分33秒26で泳ぎ、東京パラ派遣基準記録を突破。初の代表内定を決めると、仲間たちから拍手が沸き起こった。優勝すればパラ代表に内定した2019年の世界パラ水泳選手権では優勝候補に挙がりながら2種目で銀メダル。その後は不調が続く時期もあっただけに、「今回の選考会で絶対に一番に内定を獲得する」という強い想いでレースに臨んでいた富田。初戦の予選でさっそく結果を残し、「すごく嬉しい」と喜びをかみしめていた。

富田に続いたのが、男子200m自由形(S4)に出場した鈴木孝幸(GOLDWIN)。決勝で2分57秒35をマークし、派遣基準記録をクリア。5大会目となるパラリンピック出場を決めた。鈴木は同時期に開かれていたヨーロッパ選手権の結果に注目していたといい、「同じクラスの選手が良いタイムを出している。道のりは険しくなるばかりだが、あきらめずに金メダルを目指して頑張りたい」と、ライバル打倒を誓っていた。

33歳の石浦は「4度目の挑戦」で初の代表入りを決めた

石浦が会心の泳ぎで初の代表切符を獲得!

最終日には3人の選手が派遣基準記録を突破した。女子では、50m自由形(S11)で石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)が予選で31秒20、決勝で31秒28をマーク。北京大会からパラリンピック出場に挑み続けた33歳のベテランが、4度目にして初の代表切符をたぐり寄せた。リオ大会の最終選考会では0.3秒差で代表の座を逃した。その後はアスリート社員として転職し、責任と覚悟に向き合いながら練習に取り組み、タイム向上につなげた。3月の日本パラ水泳選手権では31秒03の日本記録を樹立するなど、コンスタントに31秒台を出している。「パラでも決勝に進めるタイムだと思うが、甘んじることなく努力していきたい」と石浦。目標の金メダル獲得に向けて、もう迷いはない。

窪田幸太(日体大)は男子100m背泳ぎ(S8)予選で、自身が持つ日本記録を1秒17塗り替える1分9秒97をたたき出した。強豪の日体大水泳部で課題としていた後半の持久力に磨きをかけてきた成果が出た。初のパラリンピックに向けては「出場するだけでなく、結果を求めて戦いたい」と、言葉に力を込めた。

また、男子100mバタフライ(S8)は、荻原虎太郎(セントラルスポーツ)が決勝を1分5秒25で泳ぎ、パラリンピック出場を決めた。

大会後の選考委員会で代表候補選手27人を選出

男子50mバタフライ(S5)では予選と決勝ともに日本新の泳ぎを見せた日向。この勢いをキープし、パラリンピックに臨む

大会閉幕翌日の24日、日本パラ水泳連盟と日本知的障害者水泳連盟は選考委員会を開き、東京2020パラリンピック日本代表候補選手の男子14人、女子13人を発表した。すでに2019年の世界パラ水泳選手権で優勝した木村敬一(東京ガス)、山口尚秀(四国ガス)、東海林大(三菱商事)が内定済み。そして、今大会で内定を得た5人を除く19人が新たに選出された。

女子は過去5大会で15個の金メダルを獲得している成田真由美(横浜サクラ)が6度目の出場。世界選手権代表の辻内彩野(三菱商事)、西田杏(同)は初の代表入り。男子はリオ大会銅メダリストの山田拓朗(NTTドコモ)、アテネ大会とロンドン大会でメダルを獲得した中村智太郎(HISAKA)が5大会連続出場。齋藤元希(国士舘大PST)は初めてのパラリンピックに挑む。

14歳の山田美幸(WS新潟)、15歳の日向楓(宮前ドルフィン)ら、成長著しい男女の新鋭も選出された。

(MA SPORTS)