パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2020年2月20日

2020国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会

日本は最下位、強豪との対戦で見えた成長と課題

「2020国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」が14日から3日間の日程で、大阪市の丸善インテックアリーナ大阪で行われた。日本、2018年世界選手権準優勝のイギリス、同5位のカナダの3カ国が参戦。2回戦総当たりで対戦し、4戦全勝のカナダが優勝、2勝2敗のイギリスが2位、4戦全敗の日本は最下位に終わった。

攻守でチームに貢献した萩野(左)は、大会ベスト5に選ばれた

世界2位のイギリスを追いつめるも、後半に失速

国内で唯一の女子国際大会として2007年から毎年開催している今大会。日本代表にとって、世界のトップチームであるイギリス、カナダとの対戦は、東京2020パラリンピックに向けた強化の成果を確認する絶好の機会となった。

カナダのヤンにブロックされながらもシュートを放つ北田

大会初日、ダブルヘッダーとなった日本は高さとパワーを兼ね備えた相手にディフェンスが崩れ、イギリスに44-49、カナダに46-63で敗れた。第2日目はイギリスと再び対戦。北間優衣(1.0)、萩野真世(1.5)、柳本あまね(2.5)、藤井郁美(4.0)、網本麻里(4.5)がスタメンで出場。初日の反省を生かし、序盤からインサイドをかためて相手をゴールから遠ざけることに成功。オフェンス面でも柳本がピック&ロールから得点を決めるなどしてポイントを重ね、第3クォーターを3点のビハインドで終える。

第4クォーター開始早々、リバウンドを奪って速攻を決め1点差まで追い上げると、会場の空気は最高潮に達する。だが、日本のファウルを機にイギリスの猛攻を受け、2度のタイムアウトを取るも18連続失点。日本はアウトサイドからのシュートを試みるがことごとくリングに嫌われ、差を詰めることができないまま、56-73で敗れた。

敗戦のなかで光った攻撃的ディフェンス

第3日目、日本が対戦する全勝のカナダは、チェアスキルとスピードに長けるロザリー・ラロンド(3.0)、シンディー・ウエレ(3.5)がゲームを構築。14日の初戦はセンターのアリン・ヤン(4.5)の高さを活かすプレーを展開し、日本はヤンひとりに30点得点を許すなど戦略面でも屈していた。

日本のエース・網本は試合前、「カナダはトランジションが速くて、プレースタイルも日本と似ている。だからこそ、走り負けないように頑張りたい」とコメント。その言葉のとおり、日本は序盤から運動量で相手を上回り、ヤンの攻撃力を徹底したディフェンスで封じ込んだ。オフェンス面では、北間と萩野がゴール下に素早く切り込み、第1クォーターにそれぞれ3度シュートを決めるなど、勢いを見せた。

27-23の4点リードで前半を折り返した日本。だが、後半に入るとリバウンドを奪えず、早々に逆転を許してしまう。最終クォーターは粘りを見せ、カナダより得点を重ねたものの、再逆転はならず。53-63で試合を終え、1勝を手にすることができなかった。

東京2020パラリンピックでは表彰台を目指す女子日本代表

東京パラでのメダル獲得に向け強化誓う

試合後に「この点差が世界との差」と語った日本代表の岩佐義明ヘッドコーチ(HC)。今大会は後半にリズムを失う展開が多く、柳本は「イギリス、カナダと比べてシュート成功率が圧倒的に低い。本当に悔しい」。北間も「トランジションバスケを40分間続ける力をつけなければいけない」と、フィジカル・メンタル両面の課題を口にする。

とはいえ、カナダのドゥシャームHCが「日本はとても速く、ディフェンスをいかにスイッチして抑えるかがカギになる」と警戒していたように、日本が格上チームを相手にディフェンスから流れをつくるシーンは幾多とあり、これまでの成果を発揮できた点もある。

ロンドン、リオと2大会連続でパラリンピック出場を逃している女子日本代表は、東京大会は開催国枠での出場が決まっている。目標に掲げる「銅メダル獲得」の実現に向け、今回の敗戦を糧に、残り6カ月間でさらなる成長を誓う。

(MA SPORTS)