パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2017年4月26日

DUNLOP KOBE OPEN 2017

上地がV9、男子は国枝が復帰戦で優勝! クァードは菅野が制す

国際テニス連盟(ITF)公認の国際車いすテニストーナメント「DUNLOP KOBE OPEN 2017」(ITF3シリーズ)が20日から4日間の日程で、兵庫県三木市のブルボンビーンズドームで行われた。新年度のスタートを切る今大会は日本車いす協会(JWTA)公認の国内大会も兼ねており、毎年多くの選手がエントリー。今年も総勢127名が参加した。

上地結衣が地元の大会で圧巻の強さと存在感を見せた

上地は9連覇も「40点くらい」

女子メインドローシングルスは、決勝で上地結衣(エイベックス・グループ・ホールディングス)が田中愛美(ブリヂストンスポーツアリーナ)に6-1、6-3で快勝。愛着のある地元の大会で、9連覇を達成した。世界ランキング2位の上地は、初戦となった2回戦で伸び盛りの21歳・大谷桃子(西九州大)をストレートで破ると、その後も別格の強さを見せ、頂点まで駆け上がった。上地は田中と組んだダブルスも制し、単複2冠を達成した。

1月の全豪オープンで世界ランキング1位のイエスカ・グリフィオン(オランダ)をフルセットで下して優勝。手ごたえを感じたストレートのフォアは、今大会もキレがあった。とはいえ、ミスからリズムを崩す場面もあり、「やりたいことは試せたけれど、40点くらい」と話し、5月のジャパンオープン(福岡)に向けてブラッシュアップを誓った。

国枝が復帰「これがスタートライン」

復帰戦で優勝し、観客の拍手に応える国枝慎吾

男子メインドローシングルスの決勝は、ともに初戦からストレートで勝ち上がった第1シードの眞田卓(凸版印刷)と第2シードの国枝慎吾(ユニクロ)のカードに。まずは第1セットを6‐1で国枝が先取。第2セット序盤は互いにブレークを許す展開に。そこから主導権を握ったのは国枝だった。第7ゲームのサービスゲームをキープしてリードすると、続く第8ゲームを再びブレークし、6-3で眞田を退けた。

国枝にとって、今大会は3連覇を逃したリオパラリンピック以来の実戦となった。昨年11月に古傷の右ひじの痛みが再発。予定していた世界マスターズ出場を直前にキャンセルした。医師のアドバイスもあり、約3か月間にわたって休養し、練習を再開したのは2月下旬から。コーチやトレーナーとも相談しながら、肘に負担がかからないフォームを探り、現在も修正を重ねているところだ。「4月に入ってからようやく練習量が通常に戻った」ことから、今大会の出場を決断した。

フォームの改造は大きなチャレンジだ。間違ったスイングをすると肘に違和感が出ることがあるといい、「状態はまだ20~30%。今は1日1日を終えられることにほっとしている」と心情を吐露する。だが、テニスライフに戻った元王者のその眼には、再び炎が宿り始めている。「これからどういう角度やアングルで打てるのか、といった今までと違う感覚がある。打球の質が変わってきたので、楽しみですよ」

目標はまずはグランドスラムへの復帰。ケガと正面から向き合う33歳が、ここからリスタートを切る。

ダブルスも優勝した菅野浩二の今後に注目したい

クァードは菅野が初優勝

三肢以上に障がいがあるクァードのメインドローシングルスでは、菅野浩二(リクルートオフィスサポート)が初優勝。準決勝でリオパラリンピック代表の諸石光照(フリー)をフルセットで破り、決勝ではホワン・ツゥイン(台湾)にストレートで勝利した。

菅野は頸椎損傷で上肢にも障がいがあるが、これまで男子のクラスでプレー。昨年はJWTAランキングを9位(当時)まで上げ、繰り上げながら念願だった日本マスターズに初出場した。トップ8人のみが出場するハイレベルな大会で予選敗退となったが、自分なりの目標を達成し、充足感を味わった。そして、次のステップとして選択したのが、「クァードでプレーすること」だったという。「周囲のアドバイスもあり、今35歳の自分が東京を目指せるならクァードで頑張りたいと思った」と振り返る。

ただし、クァードクラスの選手として登録するために必要な書類はITFに提出しているものの、認定(実技による動作確認など)はまだ受けておらず、今大会はITFの“Pステータス”で暫定的に出場したもの。Pステータスは参加できるトーナメント数が制限されており、5月のジャパンオープンは男子で出場することになるという。菅野は「今年中にITFによる認定会に参加できれば。クァードの選手としての可能性に挑戦したい」と話し、前を向いた。

また、同時開催の国内ジュニア車いすテニストーナメントには25人が参加した。競技に取り組む子どもたちの数は年々増加しており、一昨年はイベントとして開催、昨年初めて大会として実施した。昨年優勝の清水克起(愛媛県立しげのぶ特別支援学校)はその後シニアに転向。今年は男子セカンドにエントリーし、成長を続けている。競技者の裾野の拡大に、関係者は「数年前と比べると大きな変化だ」と話している。

(MA SPORTS)