パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2016年12月1日

2016日本ゴールボール選手権大会

男子のチーム附属Aと女子のTEAM FUZOKUが2年連続日本一に

男女のチーム日本一を決める日本ゴールボール選手権大会が26日と27日の2日間、青梅市の総合体育館で行われた。予選大会を勝ち抜いた精鋭8チームが出場した男子は、4チームずつに分けられた予選リーグを戦った後、上位各2チームが決勝トーナメントへ進み、優勝を争う。女子は同じく予選大会を通過した4チームが本大会に出場。総当たりの予選を戦い、上位2チームが決勝に進出した。

3人の息のあったディフェンスに定評があるチーム附属A。「相手に振り回されず、冷静にプレーできた」(川嶋)

男子はチーム附属Aが地力を発揮して2連覇達成

男子は、前回優勝の<チーム附属A>と、予選大会8番手から勝ち上がり、準決勝で<YMS2>との接戦を制して勢いに乗る<Amaryllis>の対決に。日本代表揃いのチーム附属Aは、序盤からウイングプレーヤー信澤用秀の強い投球がさく裂し、前半で5得点。守備でも大会MVPを獲得した川嶋悠太を中心に、小林裕史、信澤の3人の連携が光った。一方の<Amaryllis>は、チームをけん引してきた辻村真貴に疲れも見え、なかなか相手の壁を崩せない。3人のシフトをチェンジするなどして流れを引き寄せようとしたが、信澤のバウンドボールに対応できず、失点を重ねた。試合は10-1で<チーム附属A>が勝利し、2連覇を達成した。

終わってみれば、<チーム附属A>の圧勝だった。日本代表チームでキャプテンを務める信澤は「代表でやっていることをきちんとできたのが勝因。勝つことが当たり前に求められるチームなので……」と安堵の表情を浮かべつつも、大量得点で勝利したことについて「日本全体としてはディフェンス力を上げないと。攻撃力は世界と戦えるレベルにあるので、守備を鍛えて日本選手権でも僅差の試合を見せられるようにしたい」と辛口だった。

準決勝でゴールを守るAmaryllisの金子

「決勝まで勝ち上がることができ、正直驚いている。でも、ここまで来たからには勝ちたかった」と唇を噛んだのは、<Amaryllis>の金子和也。センターとライトを守った決勝では、高さと角度のついた信澤のバウンドボールが手先や頭上をすり抜けていった。「ボールがバウンドすると空中の音が聞こえなくなり、タイミングが取れなくなる。どこに来るのかわからないので、力を入れるのが遅くなってしまった」と反省を口にした。正ポジションはレフトだが、すべてのポジションに対応できるようトレーニングを重ねているという。16歳と若く、成長著しい金子の今後に期待したい。

<YMS2>と<IBK>が対戦した3位決定戦は、パワーのあるセンター伊藤雅敏の得点で<IBK>がリードし<YMS2>が追う展開。残り1分を切った場面で、<YMS2>のレフト橋詰伸明が、大会中に負傷した足を引きずりながらも移動攻撃で右のポール際に値千金の得点を決めると、<YMS2>がゴールを死守して9-8で勝利。試合後、橋詰は「コーチに(9mのゴールを左から1m刻みに数えて)7、8、9(mの位置)にボールを集めようと言われていた。狙い通り右方向に決めることができてよかった」と笑顔を浮かべた。

女子は、TEAM FUZOKUが国リハLadiesチームむさしずくを下して日本一

女子は、<TEAM FUZOKU>が連覇を達成。<国リハLadiesチームむさしずく>と対戦した決勝では、前半に2得点を挙げた。「守備のチームなので、序盤に2点をもらえたことはラッキーだった」と<TEAM FUZOKU>の寺西真人コーチ。だが、リオパラリンピック日本代表の若杉遥、安達阿記子を擁する<国リハLadiesチームむさしずく>も負けてはいられない。「1年間このためにやってきた。絶対勝てる。楽しんでやろう」と声を掛け合い、後半戦へ。その後半に一点を返したものの、相手の好守に阻まれ、エース安達の投球も得点に至らなかった。試合は2-1で<TEAM FUZOKU>が勝利した。

MVPには<TEAM FUZOKU>のセンター安室早姫が輝いた。「ディフェンスに関しては、危ない場面もなく、ほぼパーフェクトだった。(連覇がかかっていて)これまでにないくらい緊張したので、うれしいよりほっとしている」と心境を話した。

TEAM FUZOKUは天摩が攻撃の中心だ

今大会は女子のリオ日本代表も各チームに戻って出場したが、そのひとりである<TEAM FUZOKU>の天摩由貴は、昨年から練習していたという回転投げを披露。「私の投げていたバウンドボールはちょうど相手がディフェンスしている場所に落ちてしまうので、まだ点を取れるほどには完成はしていないが、相手のシフトをずらすために有効かなと思った。大会後は時間ができるので、投げ方や今大会いまひとつだったコントロールをもう一度しっかり練習したい」と話し、さらなるレベルアップを誓った。

筑波大学附属視覚特別支援学校を練習拠点にするチームが2大会連続の男女アベック優勝を果たし、幕を閉じた今大会。両チームの連覇はどこまで続くのか、来年の日本選手権も目が離せない。

(MA SPORTS)