パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2023年1月25日

車いすラグビー 橋本勝也選手

さらなる成長を誓う、20歳の次世代エース


昨年10月、デンマークで開かれた世界選手権でトライを決める橋本

国内のクラブチームの日本一を決める「第24回車いすラグビー日本選手権大会」が、3年ぶりに開催された。予選を勝ち抜いた8チームが参加し、前回(2019年)3位のTOHOKU STORMERS(以下、ストーマーズ)が創部5年で初めて決勝に進出。Freedom(高知)に敗れたものの、準優勝の成績をおさめた。

ストーマーズの攻守の要としてコートを駆けた20歳の橋本勝也(日興アセットマネジメント)は、「チームに育ててもらって、この舞台に来られた」と感極まった。そして、「優勝を逃して悔しい気持ちがあるけれど、スタッフも含めて最後まで全員で戦い、すべての力を出し切った。ストーマーズとして成長した姿を見せられた大会だった」と、胸を張った。

先天性の四肢欠損の橋本は、中学2年で車いすラグビーに出会うとすぐに頭角をあらわし、高校1年で日本代表に初招集された。車いすラグビーの中ではもっとも障がいが軽い「3.5」クラス。日本代表にはキャプテンの池透暢(同)、池崎大輔(三菱商事)、島川慎一(バークレイズ証券)という、同じ3点台の世界に誇るハイポインターがおり、橋本は彼らの背中を追って、スピードとチェアワーク、判断力を磨いてきた。

また、彼らからより多くを吸収するため、橋本は高校卒業後に就職した地元・福島県の三春町役場を退職し、昨年4月にアスリート雇用で池が所属する企業に移った。池からキャプテンシーや競技に向かう姿勢を貪欲に学んでおり、橋本自身も昨年11月の「SHIBUYA CUP」で育成世代の日本代表のキャプテンを務め、新たな経験値を得た。

東京2020パラリンピックと昨年の世界選手権で、日本代表は銅メダルを獲得した。橋本自身の出場機会は決して多くはなく、出場した場面では納得いくパフォーマンスができなかった。その悔しさを努力の糧としてきた橋本にとって、2月2日に開幕する4カ国対抗の「2023ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」は、現在の実力を試す絶好の機会となる。世界ランキング1位のアメリカ、世界選手権優勝のオーストラリア、パリ2024パラリンピック開催国のフランスといった強豪を相手にどんなプレーを見せるのか。

「いろんなことに挑戦をして、そこから課題を得たい。もっと自分が強くなるために」。次世代エースは、自身の伸びしろと可能性を信じ、世界に挑む。

(MA SPORTS)