パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2022年5月10日

車いすテニス 小田凱人選手

群雄割拠の男子の頂点めざす16歳の新星


昨年4月、世界最年少の14歳11カ月18日でITF車いすテニス世界ジュニアランキング1位をマークした小田凱人(東海理化電機製作所)が、シニアでも快進撃を続けている。しなやかで力強いサーブを武器に、次々と上位ランクの選手を撃破。男子世界ランキングを9位(2022年5月9日現在)まで上げている。

プロ選手に憧れていたという小田。結果を出すことはもちろん、「病気の子どもたちのヒーロー的な存在になりたい」と話す

16歳の誕生日である8日に閉幕した「2022 BNP Paribas World Team Cup(WTC)」(ポルトガル)では男子日本代表に選出され、銅メダル獲得に貢献。6月の全仏オープンはシングルスのドローが「8」から「12」に拡大したため、初出場を予定している。クレーコートを得意なサーフェスとする小田は、「自力出場を目指して昨年から練習を積んできた。勝利できるように頑張りたい」と力強く話す。

サッカーに夢中になっていた9歳のときに左股関節に骨肉腫が見つかり、人工関節を入れる手術を受けた。入院中に主治医の勧めもあってパラスポーツに関心を持った。ハの字にタイヤがついたテニス車に「めちゃくちゃ格好いい」と惹かれ、ロンドン2012パラリンピックの男子シングルス決勝の動画を観て、金メダルを獲得した国枝慎吾(ユニクロ)の気迫あふれるプレーに「ビビッときた」。10歳で競技を始めるとすぐに頭角をあらわし、3年で世界ジュニアマスターズを制覇。昨年のWTCイタリア大会ではジュニアクラスで日本代表の初優勝メンバーに輝くなど、結果を残してきた。

そんな小田が目指すのは、シニアでも世界最年少で世界ランキング1位になることだ。現在の記録は、アルフィー・ヒューウェット(イギリス)の20歳1カ月23日。その目標達成に向けた長期プランのひとつとして、小田は通信制の高校で学びながら、プロ選手として活動していくことを宣言。4月28日に開いた記者会見では、練習拠点の岐阜インターナショナルテニスクラブで指導する熊田浩也氏が専任コーチを務めることを明かした。より競技に集中する環境を整えた16歳のサウスポーは、覚悟と責任を携え、車いすテニス界の未来を切り開いていく。

(MA SPORTS)