パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2020年12月4日

パラ馬術 稲葉将選手

3種目優勝の稲葉「世界と戦えるレベルに上げていく」


愛馬・カサノバ号と演技に臨む稲葉。東京パラリンピックに向け、さらなる飛躍を誓う

馬事公苑で開かれた「第4回全日本パラ馬術大会」。グレードⅢの稲葉将(静岡乗馬クラブ/シンプレクス)&カサノバ号が、規定演技種目のチームテストとインディビジュアルテスト、音楽に合わせて自由に演技するフリースタイルテストの全3種目で優勝した。規定演技にはピエノ号でもエントリーし、こちらも高スコアを獲得した。

インディビジュアルテストでは、カサノバ号が強風の影響なのか、何かに驚き、一度演技を中断するハプニングがあったが、翌日のフリースタイルテストでは落ち着きを取り戻し、曲調に合わせた優雅な演技を披露。すべてのグレードを合わせて10人馬が出場する中、最高得点率67.956をマークした。稲葉は、「カサノバは歩きの質、歩様もすごくいい。馬のパフォーマンスを引き出せるようこれからも頑張りたい」と話し、昨年6月から乗る愛馬とともに、東京パラリンピックを見据える。

今季、新型コロナウイルスの影響で約2カ月半、馬に乗れない期間があったが、改めて馬に乗る楽しさに気付かされたという。また、その時間を有効に使い、SNSを活用した戦略にも取り組んだ。「本当は自分のことを発信することは得意ではないけれど、東京以降も活動したいし、自分を知ってもらいたいので思い切って始めてみた」と、オフィシャルホームページを立ち上げ、支援企業を募るなど、積極的に行動。現在はサプリの提供など、7社からサポートを受けている。

先天性の脳性麻痺で、リハビリの一環として小学6年で始めた馬術。2017年から競技として本格的に取り組み、3年の間に強化指定選手に上り詰めた。東京大会の代表候補としても有力視される25歳は、「カサノバは13歳で、いまが一番いい時。本番までのこの数カ月間で、人馬とも調子は上がると思う。世界と戦えるレベルまでもっていきたい」と、来夏の大舞台に向けて力強く意気込みを語る。

(MA SPORTS)