パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2016年6月15日

車いすテニス世界国別選手権 ジュニア日本代表

4日間で多くを吸収し、逞しく成長した未来のエースたち


7位で大会を終えたジュニア代表。最終戦を全勝したことは、次へのステップになるはずだ。

初めての“世界戦”を最後まで戦い抜いた選手たちの表情は、充足感に満ちていた。

車いすテニス世界国別選手権のジュニア部門に、日本が開催国枠で初めて出場。8か国中7位という健闘を見せた。ジュニア代表は、昨年10月の「Peace Cup ジュニア大会」などの大会を参考に選考された、細井誠二郎(東京都立桐ヶ丘高)、清水克起(愛媛県立しげのぶ特別支援学校)、高野頌吾(小郡市立三国中)、船水梓緒里(麗澤高)の4人。いずれも日本代表として試合に出場するのは今大会が初めてで、予選と順位決定戦を含め、全4試合を戦った。

第1シングルスに起用された清水は、予選のベルギー戦で1勝をマーク。またイギリス戦では、敗れはしたが第2シングルスの細井がフルセットに、ダブルスの船水・高野組がスーパータイブレークに持ち込む粘りを見せた。そして7~8位決定戦では、ロシアを相手に清水、細井、船水・高野組すべてが勝ち星を挙げ、笑顔で大会を締めくくった。

貴重な実戦を通して、チームワークと各々の技術が向上。また海外プレーヤーと交流することで選手としての立ち居振る舞いにも刺激を受けたようだった。もっとも驚かされたのは、初日と最終日の彼らの記者会見の様子の違いだ。小声で自己紹介していた選手たちは、課題と収穫を自分の言葉で語り、支えてくれる人たちへの感謝の言葉を口にした。その姿は実に堂々としたもので、遠藤義文コーチも「すごく逞しくなった」と成長に目を細めていた。

男子の国枝や女子の上地が10代の頃は同世代の選手が少なく、いきなりシニアの中で試合をしていたという。彼らの活躍に憧れて車いすテニスを始めた子どもたちが増え、ついに今年4月からJWTAジュニアランキング制度がスタート。ランキングをひとつの目標とし、日ごろの練習や試合へのモチベーションの向上、また育成や海外遠征への弾みになることが期待される。

(MA SPORTS)