パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2026年5月7日

天皇杯・皇后杯 第42回飯塚国際車いすテニス大会

上地が2大会ぶり優勝!各クラスのライバル対決にも注目

「天皇杯・皇后杯 第42回飯塚国際車いすテニス大会(Japan Open)」が21日から6日間にわたり、福岡県のいいづかスポーツ・リゾートテニスコート等で行われた。グランドスラムに次ぐグレード「WT1000(旧スーパーシリーズ)」に位置づけられるアジア最高峰の大会。18カ国・地域から世界トップレベルの約70人が出場し、白熱した試合を繰り広げた。

初の日本人対決となった女子シングルス決勝を制した上地(左)と準優勝の大谷

国内戦復帰の大谷がノーシードから決勝へ

女子シングルスは、決勝で第1シードの上地結衣(三井住友銀行)が大谷桃子(かんぽ生命)を6-4、6-3で破り、2大会ぶり8度目の優勝を果たした。日本人同士の決勝は初。上地は大谷のサーブを攻略して第1セットを先取し、第2セットも競り合いを制して主導権を握った。

一方の大谷は、パリ2024パラリンピック競技大会で腰を痛め、帰国後にヘルニアの手術を受けた後、療養中に脳脊髄液漏出症を発症し、昨年5月まで入院。パラリンピックを最後に引退を考えていたが、思うように動けず終わった悔しさから現役続行を決断。体調と向き合いながら復帰への道を歩んできた。今年1月のヴィクトリアンオープン(オーストラリア)で実戦復帰し、今大会は2年ぶりの出場。ノーシードながら2回戦で世界9位のクセニア・シャストー(フランス)、準々決勝で同2位のリ・シャオフイ(中国)、準決勝で同4位のアニク・ファンクート(オランダ)を破り、決勝に進出した。決勝では上地に敗れたものの、精度の高いリターンで存在感を示した。

目標としていたベスト4を上回る結果に、「昨年の今頃は入院中だった。この1週間は出来すぎ」と振り返った。一方で、決勝では上地の高い制球力に対応しきれず、「体力や集中力の維持が課題」と分析。今後は四大大会への継続出場を目指し、また10月の愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会出場にも意欲を見せており、さらなる飛躍に期待が高まる。

大会を盛り上げた小田とヒューエットのライバル対決

男子の小田は4連覇を逃したが、「次は勝つ」と力強く語った

男子シングルス決勝は、第1シードの小田凱人(東海理化)と第2シードのアルフィー・ヒューエット(イギリス)のカードとなった。ともに準決勝まで1セットも落とさずに勝ち上がり、26度目の対戦を迎えた。

第1セットは一進一退の攻防が続くなか、第9ゲームで小田がリターンエース3本を決めてブレークに成功。続く第10ゲームも的確なサーブで取り切り、先取した。しかし、第2セットはヒューエットに4度のブレークを許して追いつかれると、第3セットも相手の流れを断ち切れず敗戦となった。決勝は雨の影響で女子に続いてインドアで行われたが、観客は間近で繰り広げられるハイレベルなラリーに大きな拍手を送った。

小田は3月のマイアミオープンに続いて、ヒューエットに連敗。「10代最後の試合で、しかも日本の大会で負けて悔しい」と絞り出しつつ、「相手の土俵で戦うのではなく、自分のプレーを徹底して出していきたい」と前を見据えた。

昨年の全米オープン優勝により、パラリンピックと四大大会すべてを制する“生涯ゴールデンスラム”を達成した小田。次なる目標を模索するなかで、「アルフィーに勝ちたいという気持ちが改めて芽生えた」と語り、新たなモチベーションを胸に再出発を誓った。

クアードはシュローダーが激闘制す!フィンクの連覇を阻止

フルセットのクアード決勝を制したシュローダー

クアードシングルス決勝は、第1シードのニールス・フィンク(オランダ)と第2シードのサム・シュローダー(同)による対戦となり、フルセットにもつれる接戦の末、シュローダーが7-6、3-6、7-6(4)で勝利。2大会ぶりの優勝を果たした。

通算45度目となるライバル対決は終始白熱。シュローダーが最後までアグレッシブなプレーを貫き、タイブレークを制して競り勝った。試合後は「優勝できて本当にうれしい」と笑顔を見せ、「次は6月のローランギャロスが目標。世界一を目指し続けたい」と力強く語った。

クアードは、三肢以上に障がいがある選手が出場するカテゴリー。日本勢は6人がエントリーしたが、いずれも2回戦までで敗退となった。体幹や握力の制限を補うため、ラケットと手をテーピングで固定するなど工夫を凝らして戦っている。現在は体幹機能に優れた選手が上位を占める傾向にあるなか、身体的な制約を抱える選手がいかに勝機を見出すかにも注目が集まっている。

(MA SPORTS)