第40周年記念全日本視覚障害者柔道大会
日本一決定戦!若手から金メダリストまでトップ選手が集結
「第40周年記念全日本視覚障害者柔道大会」が11月30日、講道館で開催された。パリ2024パラリンピック競技大会(以下、パリ2024大会)の金メダリストや、今年5月の世界選手権のメダリストら国内トップ選手も参加。J1(全盲)・J2(弱視)のクラス分けはせず、男子4階級と女子3階級、男子シニア、男女無段の試合が行われ、熱戦が繰り広げられた。
男子70㎏級で初優勝を果たした瀬戸(右)
白熱の男子70㎏級は瀬戸が制す
男子70㎏級は最多の9人がエントリー。パリ2024大会男子73㎏級金メダリストで第1シードの瀬戸勇次郎(福岡県立糸島高教)と、昨年優勝の櫻井徹也(日本オラクル)が決勝に進み、試合時間残り1分で瀬戸が得意の背負投で技ありを奪うと、そのまま攻め続けて優勢勝ち。昨年は欠場した瀬戸は、この階級で初優勝をおさめた。
男子66㎏級だった東京2020大会後のルール変更により、パリ2024大会では男子73㎏級(J2)で出場。だが、IBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)が新たに階級を設け、瀬戸は男子最軽量級の70㎏級で戦うことになった。体重を落とした分、筋力が落ち、加えて今年4月から県立糸島高で保健体育教師として教壇に立つなかで稽古不足に陥り、「決勝は4分戦わないといけない状況にしてしまった。身体の出力不足」と悔しさをにじませた。今年5月の世界選手権と11月のアジア選手権では銅メダルを獲得しているが、この結果にも納得はしていない。瀬戸は「今はまだ目の前のことをやっているだけ。目指すべき次の目標を考えていきたい」と語り、前を向いた。
一方の櫻井は2023年の全日本大会でデビューを果たし、現在は日本代表強化選手に選ばれている期待の柔道家だ。中学2年から大学1年まで柔道に取り組み、大学2年から8年間はブラジリアン柔術で鍛えた。今大会も得意の寝技でトーナメントを勝ちあがった。決勝では瀬戸に屈したが、「伸びしろしかないと思っている。稽古あるのみ」と力強く語った。
学生もベテランも勢ぞろいの男子81㎏級
男子81㎏級決勝は、北薗(左)が加藤に一本勝ちして2連覇を達成
男子81㎏級決勝は7人がエントリー。前回チャンピオンの北薗新光(三菱オートリース)は1回戦で川井涼雅(大阪南視覚支援学校)に払腰で、準決勝で佐々木嘉幸(DHLジャパン)に一本背負投でそれぞれ一本勝ちをおさめて堂々の決勝進出。第1シードの加藤裕司(伊藤忠丸紅鉄鋼)は準決勝で田原琉汐にゴールデンスコアで勝利して決勝に駒を進め、頂上決戦は昨年と同じカードとなった。
その決勝では、北薗が長身の加藤の攻撃をうまくしのぎ、内股で技ありを奪うと、その約30秒後に豪快な体落で技ありを決め、合わせ技一本で優勝を果たした。北薗は2連覇を達成。アテネ2004パラリンピック銀メダリストの加藤も存在感を示した。そのなかで、今年7月の第18回全国視覚障害者学生柔道大会で優勝した川井ら若手選手も奮闘しており、今後もベテランと若手のプライドを懸けた争いに期待が高まる。
また、2人がエントリーした男子95㎏級は、田中司(三井住友海上火災保険)が松本友和(たかばクリニック)に2連勝し、優勝を飾った。男子95㎏超級は、廣瀬悠(SMBC日興証券)のみがエントリー。男子シニアには、松本義和(アイワ松本治療院)と吉田竜也(大阪北視覚支援学校)が出場し、松本が2試合とも一本勝ちをおさめて頂点に立った。
女子は廣瀬、小川らパリのメダリストが優勝
廣瀬は新階級での調整に苦労しながらも、強さを発揮して優勝した
女子も新階級の52㎏級、60㎏級、70㎏級、70㎏超級(出場者なし)で行われた。パリ2024大会の女子57㎏級金メダリストの廣瀬順子(SMBC日興証券)は女子60㎏級にエントリー。工藤博子(シミックウエル)と対戦し、1戦目は大外刈からの袈裟固で一本勝ち、2戦目は先に有効を取られたものの、再び大外刈からの抑え込みで逆転の一本勝ちをおさめた。廣瀬は「稽古してきたことを出せればと思っていたが、まだ60㎏級で自分の動きができるほど、身体が慣れていない」と階級変更の難しさを吐露する。それでも「この60㎏級には別の階級から選手が集まってくる。戦い方も変わってくると思うので、研究して勝てるように頑張りたい」と結んだ。
また4人がエントリーした女子52㎏級は、石井亜弧(アスメディックス)が全勝で優勝、藤原由衣(コロプラ)が2位、島田沙和(綾羽)が3位に入った。
女子70㎏級は、東京2020大会とパリ2024大会で銅メダルを獲得した小川和沙(伊藤忠丸紅鉄鋼)が、土屋美奈子(シンプレクス・ホールディングス)に大内刈、西村淳未(Sky)に背負投と袈裟固の合わせ技でそれぞれ一本勝ち。パラリンピックメダリストの貫禄を見せた。11月上旬までフランスで武者修行をしていたという小川。心身ともに充実した状態で今大会を迎え、「試合運びも安定していたし、いい戦いができたと思う」と胸を張った。今年5月の世界選手権でも表彰台に上り、その実力を維持していることを証明した。一方で、「銅メダルが続くのは、もういや。アップデートして強くなっていきたい。その力を試すためにも、これからも出られる試合があれば積極的に挑戦していきたい」と、言葉に力を込めた。
(MA SPORTS)
